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スキルスがんを内視鏡画像で見た写真、胃壁全体の硬化と膨隆、潰瘍部分からの出血を見ることができる。
スキルス胃がんの内視鏡画像(Wikipediaより)
特徴的な胃壁の硬化と膨隆を見る。
通常の胃癌のような火口型の潰瘍は認めない。

ステージIVの胃がんの化学療法で新しい可能性 ラムシルマブ

スキルス癌のみならず、遠隔転移のあるステージIVの胃がんの治療の効果に関してはここ数年はずっと横ばいだった。

もちろん、TS−1とシスプラチンという選択肢が21世紀の標準値量であり、1990年代に比べれば格段の効果を示したといってもよいのだけれども、その後のブレイクスルーというのがなかった。

それが通用しなくなったらパクリタキセルやイリノテカン、あるいはもう一度TS−1を使うという方法もあるのだけれども。


ここにきて、少し期待できる化学療法剤が出てきた。

ラムシルマブという分子標的薬で、正確には化学療法ではないが、薬物でがんの進行を止めようという意味においては同じだ。



ラムシルマブがターゲットにするのはVEGFR2という分子。

これは新しく伸びる末梢血管に発現する受容体で、血管増殖因子(VEGF)からの信号を受け取る分子。

これが機能しないようにする分子標的薬を投与することで、がんの栄養血管が作られるのを防ぐ。


がん細胞の塊は、どんどん成長するので、栄養と酸素を供給するためにどんどん新しい血管ができる必要がある。

この薬を投与することで、それが止められると、がんは大きくなることができない。

転移した先でも、新しい血管を呼び込むことができないから、定着しにくい。

VEGFRs.png

ということで、この薬は、すでにある大きながんの塊が大きくなるのを防いでくれる。

栄養と酸素を絶たれたがんの塊は徐々に小さくなることが期待できる。

あちこちん転移する新しいがんの塊の芽は、全く育つことなく死んでしまうことが期待できる。


これ、実際にどのぐらい有効かというと、

治療歴のある進行胃・食道胃接合部(GEJ)腺がん患者665例を対象に,ラムシルマブのパクリタキセルへの上乗せ効果を検討した。解析の結果,OSはラムシルマブ群9.6カ月,プラセボ群7.4カ月(中央値),ハザード比(HR)0.807(95%CI 0.678?0.962)とラムシルマブ群で統計的に有意な延長が認められた。

という報告がランセット誌に掲載されている。
(Lancet Oncol 2014; 15: 1224-1235)


つまり、パクリタキセル単剤に比べると、生存期間が20%程度は延長可能であるという結果だ。

完治するわけではなくて、あくまでも延長なんだけど、7か月半が9か月半に伸びる、人生最後の長さが2か月延びるのは歓迎すべきことだと思う。

その間に、もっといろいろ、会いたい人に会い、伝えたいことを伝え、自分の生きた証を心に刻み込んで、次の世界に行けるじゃないか。


とても大事な2か月だと思う。


posted by すきるすがん at 01:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

スキルス胃癌の初期症状かもしれないなと気が付いたら


スキルス胃癌の初期症状についてずいぶん前の記事で書きました。

スキルス胃癌の初期症状


最近になって読み返してみたのですが、なんとも記述がわかりにくくて、さらに、スキルス癌の初期症状ではないかと思ったらどうするかということを書いていなかったので不親切だなと気づきました。

そこで、わかりやすいように、さらに、スキルス胃癌を疑ったらどうすればいいのか、少し書き直してみます。


前の記事でも書いたスキルス性胃癌の特徴のおさらいです。

スキルス性胃癌では急速にがん細胞が胃の粘膜下組織全体に広がっていきます。

このために、胃の壁は本来の柔軟性失っていきます。

良く伸びたり縮んだりできるゴムの袋の壁に硬くて伸びの悪いウレタンフォームがくっついていく感じをイメージしてください。


これにより、胃の動きが悪くなることで違和感を感じます。

いつもなんだか胃もたれがするぞ、という感覚ですね。

(胃もたれというのはみぞおちから下にある感覚です。胸骨の高さのもたれ感は食道の病気や心臓の病気を疑ってください。)


さらに、胃の動きが悪くなることで、胃潰瘍も起こしやすくなります。

この胃潰瘍のでき方も、スキルス癌ではない通常の意を持っている人の胃潰瘍のでき方と異なるタイプの大きくてフラットなものができやすくなります。

これも、胃潰瘍の痛みを感じることができるはずです。


急速に進む胃もたれ感、違和感、それに加えて空腹時の胃の痛み。

それらの所見を感じて、それが2週間以上続くようであれば、専門医による胃の内視鏡検査を受けてください。

(昔でいうところの胃カメラ、あるいは別の言い方だと胃のファイバースコープ検査です。)


この胃カメラ検査、2000年代に入ってから激的に進化しています。

日本の会社が改良を続け、呑みこむファイバースコープの性能が上がったので、直径6o以下のかなり細いものを使うことができるようになりました。

その結果、口から飲み込むだけでなく、鼻に麻酔をして、鼻から細い管を差し込むことで検査をすることも可能です。


高齢の方が入院されているのをお見舞いに行ったりすると、鼻から「経鼻栄養チューブ」というものを指して、胃に流動食を流しいれていらっしゃることがあります。

あんな感じです、あれよりは多少太いのですが、のどの吐き気を催す部分を刺激する可能性が低いので、検査を受けるのがずいぶん楽になっているのですよ。



で、実践している動画を発見したので紹介しておきます。


経鼻内視鏡を自分でやってみた  transnasal endoscopy was self-performed


ぶははははh!

この先生、自分で自分に鼻から内視鏡入れてみてる。

感想としては、口から飲むよりも圧倒的に楽みたい。

のどにまったく当たらないわけではないから、気持ち悪い感はあるけど、口よりは圧倒的に楽だそうです。


でも、欠点としては、細い分、得られる情報は少なめになり、肉眼で見る限りは口から飲むのに比べて暗いようですね。

口から飲める人は口から頑張って見てください。



・・・私は3年前から「鼻から内視鏡」派に変わりましたけど。

だって楽なんだもん(笑)。


ただし、それでなんか怪しい見つかったら、再検査では口からの内視鏡にしてください。

鼻からのは細すぎて、内視鏡下バイオプシーができないという欠点があります。

そのときは「口から検査が必要です。」と、医師の方から指示がありますので従ってくださいね。




posted by すきるすがん at 15:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

スキルスがんの術前化学療法として最初からS-1+シスプラチンを用いるのはわが国ではもはや定法

スキルスがんも含めて胃がんの化学療法の効果改善に大きく寄与したS-1剤。

特に術前投与によるサイズの縮小はそれまで外科的治療不能とされていた腹膜播種例の腫瘍摘出を可能とした点で画期的で、生存期間を大きく伸ばした。

そのS-1術前投与に、1980年代からの抗ガン剤の主役であるシスプラチンを組み合わせた場合の効果について、症例数を集めた検討報告が今月の胃がん学会【2010年3月3日から5日】で行われた。


結果は、S-1+シスプラチンによる術前補助療法は予想通りに好成績を残した。

対象は、1995年5月から2008年12月までに、スキルス胃癌で、術前に切除の可能性ありと診断されて集学的治療を受けた93人。

この93人は術後の他の抗ガン剤投与スケジュールなども統一して展開された症例群の比較である。


2000年6月までの29人には術前化学療法剤投与なし。

2003年9月までの20人には5FU+シスプラチン。

2003年10月以降の44人にはS-1+シスプラチン。


年代別になっていることからわかるとおり、患者を選んで実験したわけではなくて、

2000年初頭までは術前投与と言う選択肢がなかったこと、

2003年9月まではS-1がまだ厚生省に認可されていなかったことが原因である。


また、遠隔腹膜転移の患者では回復しても積極的な切除は行われていない。

その比率は上記の三群で55%、55%、64%と言うことから、術前S-1+シスプラチン群がやや進行の進んだ患者が多かったことになる。


で、結果をかいつまんで示すと、

生存期間の中央値は非NAC群が202 日、低用量FP群が322日、S-1+シスプラチン群では506日。

2年生存率は非NAC群が7%、低用量FP群が20%、S-1+シスプラチン群では30%であった。


これを切除可能例に限ってみれば、

生存期間中央値は非NAC群が271日、低用量FP群が324日、S-1+シスプラチン群では1052日であった。

2年生存率はそれぞれ10%、28%、58%ということでかなりの差が認められた。


以上のことから、現在施行されているスキルス胃がんの化学療法と手術を組み合わせた集約的な治療は以前に比べれば大幅な生存期間の延長を可能にした。

ただし、抗がん剤治療中のQOLに関して言えば、S-1がほとんど副作用なく飲み続けることができるのに対して、シスプラチンの点滴は、さまざまな制吐両方が組み合わされていると入ってもなかなかつらいものである。

患者の治療に対する意欲を失わせないように、この術前化学療法がこれまでに比べてどれほど効果的で、期待できるものなのか、きちんと説明した上で取り組むべきだろう。


posted by すきるすがん at 16:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

胃がんの治療に用いる化学療法剤について

胃がんの治療に用いる化学療法剤について
自分や自分の家族がどのような治療を受けているのか
患者側が把握するのは大事だと思います。


胃がん診療と化学療法全面改訂第2版


胃がんの治療に用いる化学療法剤について
詳しいことに関して知りたければ
この本を手に入れるのが最適です。

胃がん診療と化学療法全面改訂第2版



2008年9月の発売ですが、
2008年6月ごろまでのアップデートがまとめてあります。

2002年から2007年にかけての臨床試験の評価で
化学療法のコンセンサスが確立したその説明です。


現在使われる抗がん剤の効果や副作用、
なぜ効果的なのか、なぜ副作用が出るのか、
どのような投与方法がベストなのか、

薬剤の効く、効かないの癌の種類別成績、
遺伝子上の問題など
さまざまなことについて説明してあります。






人口の少ない医療関係者向けに書かれた本なので
207ページと言うボリュームの割には高い本に思えるかもです

ですが、この本は専門書のくせにわかりやすいです。
(簡単であるとは言えないかもですが、理解できます)

ふつうの本屋さんに並ぶ怪しい民間療法の類を読むよりも
医師や看護師が読む、こういう専門書を
ぜひ、真剣に読んで見てください。


わからないところは主治医に聴けばよい。

「先生、わからないことがあるので教えてください!」

主治医もこの本を患者が持ってきて質問したら
かなり気合を入れて説明してくれます。

あるいは自分が一世代前の化学療法を行っていることに
気づいて改めてくれるかもしれないです。


ちなみに、
普通の本屋では売ってないことが多いので
インターネットでの購入をお勧めします。

上に紹介したものは楽天ブックスのものです。
楽天であれば大企業ですから、安心して注文できます。

また、楽天カード(年会費無料)を作れば
ポイントを2000ポイントもらえますから、
それを先に作ってから買えば数百円で買えます。







簡単に胃がんの化学療法剤の一般論を


胃がんの治療に用いられる化学療法剤は、
かつては、ただの気休めであるとか、
あまり効果がないとか言われていたものです。

5−FU(フルオロウラシル)という日本で開発された
飲み薬の化学療法剤がその最たるものでした。

「副作用もほとんどないけれども、
 効果もこれまたほとんどない。」

外国からはそう言う悪口が聞こえてきました。
確かに、この薬が効く人の率はごくわずか、
効いてもほかの薬の効果じゃないのかと疑われたりしました。


しかしその効果を引き出す方法が開発され、
それを組合わせることで5-FUは面目躍如しました。

テガフール、TS-1という抗がん剤です。

この薬では5-FUの持つ本来の力を
生体内でうまく引き出すことができるのです。


このTS-1とシスプラチン、CDDPを組み合わせることで
胃がんの化学療法剤による治療成績はかなり改善しました。

白血病や、一部の卵巣がんなどの
化学療法に反応性の高いがんの治療と比較すると
それでもずいぶん成績は悪く見えるのですが、
本当に胃がんに使える化学療法が見えて来たのがこの数年なのです。


とても手術できないような大きな浸潤性の胃がんや、
腹膜播種で本体を取ってもどうしようもないようなもの、
そう言う腫瘍のサイズを縮めたり、
腹膜播種をいったんは完全に消失させたりして
手術で原発巣を取り出すことができる。
といった術前治療や

これまで効果がないからしない方がいいと言われていた
胃がんの進行がんの手術後の化学療法においても
TS-1とCDDPの組み合わせは効果的になってきています。

もちろん、CDDPには吐き気や気分不快などの副作用が伴います。
副作用が激しい人は無理せずに中止するのも選択肢の一つです。

ですが、個人差が大きいのです。
TS-1とCDDPの組み合わせで、副作用がほとんどない人もいます。

やってみてから決めてもいいと私は思います。


化学療法はそれだけで癌を治せるとは思いません。
手術と組み合わせるのが原則です。

でも、確実にこの研究は進歩している。
ただおびえるのではなくて、
理解して、納得してから取り組んで見ましょう

少しでも元気な日々を長く手に入れたいものです。


posted by すきるすがん at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

スキルス胃がんの診断に内視鏡下生検(バイオプシー)を


スキルス胃がんは通常の胃がんと異なり、
その本体が胃の内腔に出てくることはあまりありません。

通常の胃がんが胃粘膜の潰瘍のように
胃の内側に向かって粘膜がはがれおち、
火山型とも呼ばれる状態になるのに対して、
スキルス胃がんは粘膜下層を横に広がります。

たとえばPETという検査でスキルス胃がんの人を見ると、
スキルス胃がんが胃の壁全体に広がっているために、
胃の形に放射性物質の取り込みが認められ、
断面図で見ると胃のところにリング状の像ができます。

でも、PETは時間も費用もかかりますので、
(検査は前後合わせて数時間、費用は10万円前後です。)
ある程度お金のある人しか受けられません。


もっとも簡単にできるのはやはり内視鏡検査です。

被爆もありませんし、上手な医者にかかればかなり楽です。


で、スキルス胃がんですが、
最初に書いたように粘膜はあれませんので、
経験の少ない医者にはわかりにくいのです。

このサイトのトップに張り付けた画像のようになれば
誰でもわかりますが、こうなるとかなり進行しています。

でき始めの変化を見逃さないかどうかは
医者の力量にかかっています。


でも、スキルス胃がんが出始めのころに、
部分的に硬い雰囲気になった癌を見分けるのは
ベテランでもやはり難しいものです。

そう言うときに有効な手段が
内視鏡下バイオプシーです。

ようするに胃の粘膜とその下の組織を
小さなハサミで切り取って、検査します。


そのときには医者から検査してもいいかと聴きますが、
強制はできませんので、いやだと言われたらできません。

そうなると、次にもっと進行した時点での検査の機会を
数ヵ月後を待つしかありません。


スキルス胃がんは半年もあれば胃の全周に広がる

と言われています。

だからこそ、毎年健診を受けている人でも
見つかったときには手遅れのことが多いのです。


でも、早く見つかれば速く見つかるほど、
生存率は高まります。


スキルス胃がんかもしれないという兆候は
通常の胃潰瘍ができにくい場所の大きな潰瘍と、
胃粘膜襞の少ない平板な感じの粘膜です。

そう言うのに気がついても、
その見かけだけでスキルスだと
医師が判断するわけにはいきません。

バイオプシーで調べないと何も言えない。


もしもあなたが胃の調子がなんとなくおかしくて、
あるいはそうでなくても体調が変で、
そうでなくとも身内にがんで亡くなった人がいたら、

医師からバイオプシーしてもいいかと聞かれたら
ちゅうちょせずにしてもらってください。


それは幸運なあなたを
スキルス胃がんの死の淵から救いあげてくれる技術です。
チャンスの神様の髪の毛をつかみ損ねないでください。
posted by すきるすがん at 14:15 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
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