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スキルスがんを内視鏡画像で見た写真、胃壁全体の硬化と膨隆、潰瘍部分からの出血を見ることができる。
スキルス胃がんの内視鏡画像(Wikipediaより)
特徴的な胃壁の硬化と膨隆を見る。
通常の胃癌のような火口型の潰瘍は認めない。

ピロリはやはりクロだった。胃癌の原因の可能性確認

ピロリはやはりクロだった。胃癌の原因の可能性確認

ピロリ菌ことHelocobacter Pyroliは胃粘膜に巣食う奇妙な細菌である。
発見者である研究者は自らピロリ菌を飲んで感染することでデータを取っている。
ピロリには日本人の半数近くが感染していると言われている。

ピロリがどうしてこんなに話題になるかと言うと、
サンプラザ中野がその名前の流通に貢献してくれているけれども、
けっしてピロリの名前が奇妙だからだけではない。

ピロリに感染すると胃粘膜がだんだんだんだん、やられてくる。
それはやがて委縮性胃炎に変わっていくのだが、
委縮性胃炎は胃癌の発生素地としてよく知られている。

また、それをさかのぼってピロリ感染率と胃がん発生率を比較すると、
明らかに相関関係があることから、
ピロリが何らかの悪さをして委縮性胃炎の病態を引きおこすことが、
あるいは委縮性胃炎は一つの結果でもう一つの結果が胃癌であると、
そのような推測がなされてきた。

しかしどちらががんの発生に問題となるのか、
ピロリの作るどんな成分が問題になるのか
それについてはまだ明らかにできないままであった。
しかし最近になっていくつかエビデンスが出てきた。
その一つがこのニュースである。

<ピロリ菌>やっぱりがん誘発 北大がマウス実験で初証明

1月8日12時38分配信 毎日新聞

 胃がんの原因とされるヘリコバクター・ピロリ菌が作り出す「CagA」と呼ばれるたんぱく質によって、がんが発症することを北海道大の畠山昌則教授(分子腫瘍(しゅよう)学)の研究チームがマウスを使った実験で証明した。ピロリ菌が直接、生物の体内でがんを引き起こすことを確かめたのは初めてだという。全米科学アカデミー紀要(電子版)に8日発表した。

 研究チームは、全身の細胞でCagAを作るよう、受精卵の段階で遺伝子操作したマウスを222匹作った。うち2匹は約1年半後には胃がんを、4匹は小腸がんを発症した。さらに、17匹が白血病などの血液がんを発症し、CagAが胃がん以外にも関係する可能性も浮かんだ。一方、通常のマウス100匹も観察を続けたが、がんは発症しなかった。

 実験では、マウスの体内で「SHP−2」という酵素に関係した酵素が異常に活性化していることも判明。一方、CagAとSHP−2が結合できないようにしたマウスでは、がんは発症しなかった。

 畠山教授は「ピロリ菌に感染した人すべてが胃がんになるわけではないが、除菌の有効性を示唆する結果だ。SHP−2を標的にした治療法の確立も求められる」と話した。【関東晋慈、千々部一好】


メカニズムは説明してもつまらないので、省略する。
この際大事なことはこの結果の解釈だ。
これについて少し考えてみよう。

ピロリ菌が産生する特殊な分子が大量に存在すると胃癌だけでなくさまざまな癌が発生しうることがわかった。
これはこの実験系で用いた組み換え遺伝子操作の問題で、とりあえずCagAを全身で発現させて見たからわかったことだ。

本当に胃癌の原因であるかどうか知りたければ胃粘膜でのみこの遺伝子を発現させればよいが、残念ながらそれは行われていない。
遺伝子を特定の組織で発現させるにはそれに適した配列を用いなければならないが、胃粘膜発現に使える適切なプロモーター配列がまだ見つかっていないのだろう。

このことはしかしピロリ菌の産生するCagAの機能を示唆する結果となった。
細胞の増殖、あるいは生存に関わる機能を様々な組織で亢進することができる。
と言うことは、胃粘膜のどの細胞であっても刺激となりうるわけで、スキルスについてもその発生に関わる可能性は考えなくてはならない。
と言うのもスキルスの場合、他の胃がんとはどうも発生機序や活性化される信号伝達系が違うのではないかと考えられているからだ。(今もって明らかではないが。)

もちろん、スキルスの場合はある程度遺伝要因が疑われている。
もともとかかりやすい体質の人はいるのだろう。
しかしそこにさらにピロリによる細胞生存延長などが加わるとひょっとして?

そう考えるとそこのところを明らかにすれば、
ピロリ菌除菌の有効性がさらに上がるのみでなく、
有効性の高い治療法を発見できるかもしれない。
その点でここから先が楽しみな話ではある。
posted by すきるすがん at 16:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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